マツキヨが楽しかった日記

短文投稿するSNSに連投するのも日記(小さい)にさっぱり書くのもなんだか違って言葉を尽くして残したい気分なので、書く。

私はあんまり、「生理用品の選択肢の狭さ」みたいなものに不自由さを感じたことがなくて、それは生理がある女性性の自分に対する抵抗感がそこまでなかったとか、それゆえに衛生用品がどのような見た目をしているかが気分を左右するほど深刻なことではなかったとか、そういうようなことが理由だと思う。これは自分の良いところでもあり悪いところでもあると思ってるけど、環境に対する適応とあきらめも早い。(あと、ピンクや花柄は、そういうデザインの衛生用品が好きってわけではないけどそういうもの自体は嫌いではなくて、だとしても押し付けられたらむかつくけど、とはいえそれと自分が結びつくことが耐えがたい苦痛をもたらすような、そういう嗜好や性質では、私はたまたまなかった)

そうはいってもみんなが私みたいな人間じゃないことはわかっているので、最近の選択肢を増やそうという流れ自体は当然良いものだと思っていて。ただ、そういう状況で自分が何を選ぶかと言えば、多分実家にいた頃から使っている、昔ながらのパッケージの商品だった。世の中で、選択肢が少なくて私はあまり感じないストレスや苦痛を感じている人がいる、この世には、「私も価値観の変化によっては感じる可能性が充分にあるそういう形の苦痛がある」ということを認識してしまった時、苦しいことが増えることが怖くて、私は特に気にしていないのだと思うために、何も考えずにかごに入れられる昔から使っていた商品を手に取っていたのだと思う。考えられたデザインの商品を手に取った時に、「私は苦しかったからそうしたのだ」と私が私に対して思い込んでしまうことが恐ろしくて忌避していた。そうしたらまたひとつ、世界に対して腹を立ててしまうので。怒ることは大事だと思っているけど、同時に自分が怒るのは最小限にしておきたいという気持ちがある。自己中心的なので、疲れるのは嫌だ。

そんなかなり拗れ切った考え方をしていたわけだけれど、今日はたまたま、ドラッグストアに行く予定をしていて、そしてたまたまストレスによる購買衝動が高まっていたので、愉快な買い物がしたいな、洗練されたデザインの生理用品とかを買ってみようかした、という気分になっていた。珍しく。購買衝動が高まった時、なるべくスーパーに行っておいしいものを買って備蓄しておくとか、文房具屋さんでいつか使うときめく文房具を買っておくとか、なるべく思い切り買い物した気分になれて、金銭的ダメージが少なく、かつその後の自分のためになる選択ができるよう心掛けているけど、たまたま今日はドラッグストアと生理用品にお鉢が回ってきたわけだ。

会社帰りにあるいちばん大きなマツキヨに寄って、水回りの商品やおむつとかが売っているあたりで探しても全然棚が見つからずキレそうになったが、よく探すとかなり入り口に近い場所に置いてあった。怒ってごめん、いい場所に置いてくれてたんだね……。デカいマツキヨだけあって、品ぞろえがとてもいい!見たことない商品がぼちぼちあって、ひねくれていた割に簡単にテンションが上がった。見たことないきれいなデザインやかわいいデザインのものがたくさんあることと、コットン素材の肌に優しいものが思っていたよりたくさん展開されていること、大手じゃなさそうなメーカーの商品があること、すべて新鮮だった。デカいマツキヨ、すごい(2回目)。購買衝動が高まっているのもあり、品出しをしようとスタンバっていた店員さんを立ち去らせてしまうくらい、めちゃくちゃ真剣に長考し、楽しく「買い物」をした(店員さんごめん)。で、ようやく、苦しいから逃れたいというだけでなく、苦しくなくても選択肢が多いならそりゃあ嬉しいな、プラスにしかならないな、と当たり前のことを思った。本当に、当たり前のことなのだけど、ただ考えているだけではぴんとこなかった。街に出なあかん……。

医療の力を借りて出血の量とかが落ち着いて、失敗しないことが分かっている商品をお守り的に買い続ける必要がなくなったからとかもあるけれど、まあ、それも含めて「好きに選べる」ということはとても開放感があった。衛生用品を楽しく選べる必要は別にないとは思うのだが、選べるならそれに越したことはない。そして、この「あったら楽しい」という彩りは、選べる必要は別にないなどと言っていられない、ないと苦しい人の叫びやあってほしい人の願いや、それを受けたメーカーの人達の使命感の上で、私が疲れるからとセーブしてしまう怒りも含んだ動きの上で、ようやく成り立ったもので、私はその恩恵にあずかっているのだということを、忘れないようにしたい。私も怒るべきものに怒れる人でありたいです。

生理用品の棚がある1列、他にもデリケートゾーン用のソープやらショーツやらストッキングやらなにやらずらっと並んでいて、結構圧巻だった。TENGAの会社の女性向けラインのirohaの商品がコスメのように並んでいて、店頭で見たのが初めてだったので、ああ、こういうところに並ぶためにこういう見た目なのかなあと腑に落ちた感じがした。(これについても、強い抵抗を覚えるタイプでなかったゆえに、むしろここまでコーティングしないといけないということのほうに、恐ろしさをこれまで感じていた)当たり前のようにお店に並んでいて、それが人前でもそこまで目を逸らしたくならないデザインをしていることに、なんだかとてもこちらを向いてもらえてる感じがして、嬉しくなった。今まで疑念を抱いていてごめんねの気持ちでソープを買いました。私の夏の肌治安を救ってくれ(先の話過ぎる)。

デカいマツキヨ本当にすごくて(3回目)、もちろんコスメも洗剤もデンタルケアも薬も何もかもたくさん売ってるし、グラノーラは安いし、テーマパークだった。なんで地方都市出身東京生活8年目で今更ドラッグストアにはしゃいでるんだ。ていうか大きいドラッグストアって都市にもそこそこ田舎にもあるし。グラノーラがあまりにも安かったので、とりあえずまた行きます。